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兵庫県で地下ガレージ付3階建ての新築住宅が進行中

兵庫県の芦屋エリアの斜面地にある地下ガレージ付きの新築住宅がこの度着工いたしました。
敷地は南北方向に3mの段差があり、既存擁壁がその段差を受け止めています。
このような擁壁付きの敷地は、役所との綿密な協議が欠かせません。
本案件でも建築士と施工者の連携によって、非常に時間とコストのかかる開発工事を避けつつ、着工にこぎつけることができました。
以下①~③は地下の躯体に着手するまでの流れになります。
①埋蔵文化財の発掘調査
今回の敷地は古墳が隣接するため、まずは事前調査と、調査後に埋蔵文化財の発掘が入りました。個人の土地であれど、古代の地層の上に位置する場合、古墳の残骸や土器、石器などが予想以上に出土します。
地面は共有の文化的財産とみなされ、建物が建つ部分に限って調査をおこない、石器や土器などの文化財を未然に発掘、保護するような調査になります。
ある深さまでは敷地が現代になって造成されたときの浅い地層のため、重機で大胆に掘ります。
断層の色が変化する1~2mの深さで、学芸員さんよりストップが入り、職人さんの手による繊細な手掘りに切り替わりました。これくらいの深さを掘ると、急に1万年近い時間のスケールで地層が変わるみたいです。
このような手探りで、地層の中に含まれている縄文時代・弥生時代の土器を取り出していきます。下の画像が掘起こされた土器の破片です。学芸員の方はこの破片を見て、縄文土器であろうと特定されていました。
埋蔵文化財の発掘は、以下のような条件が多いほど本格的な発掘調査に進みやすく、場合によっては着工時期がズレる場合があるので注意が必要です。今回は個人宅につき、費用は市に負担いただきました。
・敷地が埋蔵文化財の指定地域内 (市役所で確認できます)
・基礎が深い、地盤改良がある、地下室がある
・古代層が地表から浅くに存在する
今回は市の方の協力により事前調査で発掘が必要と判ってから、本発掘の完了まで1ヵ月と短い時間でご対応いただきましたが、繁忙期は3ヵ月以上かかることもあるようで、注意が必要です。
②既存ガレージの解体
既存のガレージがある場合、それも解体して上屋を建てるのが一般的です。
完全に上屋が既存の車庫の上部に乗らないように計画する方法もありますが、床面積が削られることや既存のガレージの状態が悪い場合は、今回の工事のように一度解体して、新たに新築することとなります。
今回は解体前後で盛土や切土が実質的に生じないよう、同位置にガレージを造成しています。
既存ガレージが敷地内にある土地を購入される予定の方や、そこに新築をご検討中の方は、営業担当さんではなく、一級建築士と直接相談が出来る事務所に依頼されること事をおすすめします。
このようにして既存のガレージにかかる土をまずは掘り出し、その後解体を行います。
▲解体後のようす
③地盤改良工事
敷地が更地になった状態で地盤の強さを計測します。
地盤調査は直接地面に機械を持ち込んで行います。そのため土地に解体前の家屋が残っていたりするとうまく実施できません。
地盤改良工事は避けて通れない工事ですが、予期せぬ増額にならないよう、中土居工務店では計画の方針が固まった後、可能な限り早期に地盤調査を実施しております。
今回はスウェーデン式サウンディング試験という方法で調査を行っています。地面に細い鉄芯を差し込んでいき、その反動で地盤の固さを測定します。最近の弊社の新築現場では地盤改良工事が必要になる物件が多いですが、こちらも漏れずに必要となりました。
表面地盤がそこまで頑強ではないことや、既存の擁壁に荷重を負担させないため、コスト的にも目途の立つ柱状地盤改良工事を施します。地下の解体が完了した後の地面に重機を入れ、所定の間隔でドリルで穴を掘り、ドリルの先端から出てくる液体のセメントと土を混ぜ合わせながらドリルを地面から抜くことで、柱状の固い杭ができます。
▲柱状地盤改良杭の頭が見えている様子
ここまで、地面の周りの工事の事を取り上げました。この先は地下車庫の造成、上階の基礎工事に移ります。
表にも見えてこないし、進んでいるのか何なのかわからない地面周りの工程にはなりますが、中土居工務店では建物が乗る地面の工事は非常に大切な工程と考え、丁寧に施工をしております。
今回の物件は構造事務所との連携により、3階建ての木造+RC造、許容応力度による耐震等級3を確保予定です。
地下車庫や段差解消工事を伴う新築住宅などは、土地購入前、計画初期での検討が欠かせません。
その土地の状況によっては、造成をしない、地下を作らない、地下を最小限にし、コストと時間を可能な限り圧縮する方法など様々であると思います。
弊社では適正価格での提供と、一級建築士との相談が出来ますので、心当たりのある方はお問合せ下さい。